VOICES
––– よろしくお願いします。改めましてお名前をお願いしてもよろしいでしょうか。
大谷史乃と申します。大学会館の情報スペースでスタッフをしています。
––– 機材とか、コンピュータの技術とかが借りれたり、教えてもらえたりするところですね。
そうですね、カメラとか、大きい印刷とか。音楽の人が使える設備もあります。扱う物の性質上、美術の学生が多いですが、音楽の学生も使える設備なんです。私はここのスタッフの仕事と、それとは別で、美術学部の学生さんにコンピュータ演習を教えたりしてます。
––– なるほど。大谷先生は京芸出身と聞きましたが、専攻はどこだったんですか?
染織だったんです(笑)なぜ今ここに…って感じですよね。
––– そうですね…(笑)
染織の中でも、ちょっと変わった制作をしていたんです。染織を勉強した後で、最終的に写真にたどり着いて。自分で作った透明な支持体に、写真を焼き付けるというか。そんな物を作ってたりとか。後、大学で前期展とかするじゃないですか。そういう時のフライヤーを、作品と同じくらい力入れて作る学年だったんです。それが楽しくて。卒業したあとは制作を続けようと思って、就職せずにいくつかアルバイトをしていたんですよ。そしたら担当の先生が募集してるよって教えてくれて。それで働き始めることになりました。
––– なるほど…!勤められて何年くらいなんですか?
もう…10年くらいですね。
––– そうなんですね!私がここに来る日が悪いのか、なかなかお会いすることがなかったですが…
週一回、水曜日しか来ませんからね。(前期は水曜日、後期は月曜日とのことです)
––– 水曜日なんですね。他の曜日は何されてるんですか?
違う美術大学に、非常勤で行ったりしてます。そこでコンピュータ教えてたり。染織専攻の中でコンピュータの授業が必要、てなって。両方教えられる人を、といことで声をかけていただいて。
––– 超適任ですね。これ以上ないくらいの。じゃあ他の大学と京芸とで違うところってあったりしますか?
自由…野放し?(笑)
––– よく言えば自由、悪く言えば野放しって感じですか(笑)
いい意味で学生が管理されてないというか。他の大学も自主性はあると思いますが、ここは特に「あれやりなさい」「これやりなさい」が少ないように思います。
––– そうなんですね…一般的に芸大は自由度高いイメージあると思いますが、その中でもより、って感じですか?
野性味、みたいな(笑)野生感。
––– 確かにめっちゃ木生えてますもんね。
そうですね。何もやらなければ何もやらないで終わっちゃいますけど、やろうと思ったらいろいろ面白いことが転がってる感じ。
––– そうですね(笑)
ここ自体が秘密基地みたいな雰囲気ありますよね。勝手に何かが始まってるというか。
––– あ~確かに、勝手に小屋とか建ってたりしますよね。
そうそう、遊び場みたいな。総基礎はそのきっかけ作りですね。大学入ってから「え、こんなことしていいの!?」みたいなことがいっぱいあって。
逆に駒井さんは、京芸ってどんなところだと思います?
––– そうですね…ふとしたところに時間が止まってるところがあって。階段の踊り場にあるドア開くとある小さいベランダみたいなスペースとか。あそこなんてその極みだと思うんですけど。物好きな人たちがボーッとする場所ですが、そこに年々いろんなものが積み上げられてたりして。
あ~
––– ソファとか落書きがあったりして。誰の何かわからないけどある。昔のものが、時が止まったままあって、でも誰か代々使ってるんだろうなとわかる。そういうのがちょくちょくあるのが私は好きです。それが学校全体の雰囲気になってる気がして。その中でみんなお気に入りスポットを見つけてたり。そのスポット自体、誰かから紹介されて受け継いでるものだったりして。そういうのがあるところだなと思いますね。
そうですね、そういうのがいろんなところで積み上がってる気がしますね。
––– いろいろ地層みたいになってるなと思います。
友達と、しばらく経ってから思い出話とかしてると、え、そんなレイヤーあった!?みたいな話があって面白いなと思います。「音科の校舎の裏手でお茶会してたんだよね」とか聞くと(笑)そんなことしてたんや!って。
––– それぞれがそれぞれに、そういうの持ってますよね。そういうの、いいなあと思います。
––– 京芸でスタッフをしていて、楽しいことはありますか?
いろいろ機材があるので、実験してみたりとかできるのが楽しいです。それと、いろんな専攻から学生が借りに来るので、制作のこぼれ話とかをポロポロ聞くのが楽しいです。何でこれしてるの~とか。
––– 結構学生との交流はあるんですね。
そうですね。ここに来る人とは…(笑)多分専攻で働いておられる先生たちとは違う関わり方をしてるんだと思うんですよね。そこまでコンセプトとか聞いたりはしませんし。「こんなことやってるんや~」っていう、作品だけではなくて、企画や展覧会とか、いろんな側面での話が聞けたり。
––– なるほど。
––– 京芸の中で、どんなポジションだと思いますか?
そうですね。そんなに、専攻の中でガッツリっていうポジションではないので、何となく自分の制作とかで、どうしたらいいんだろうなあって行き詰まった時に、コンピュータとか機械のことだからここ聞けばわかるかなあっていううちの一つとして、脳内に置いておいてもらえたらなあと思います。
––– 確かに制作途中で行き詰まるときって、結構機材的な問題だったりすることありますもんね。そういう時に、丸投げはよくないですけど(笑)第一の頼れるところとしていてくださるのは、心強いです。
結構それぞれ、ここにいる先生たちも専門が違うので、知りたいことによって聞く先生を変えてみてもいいかも。学生が買うのは難しい、高額な機材とかもあるので、試してもらったらいいし。
––– 先生たちを使い倒せる、貴重なところですもんね。
そうです。ぜひぜひ使って欲しいですね(笑)